次は、理美容の統一だ
Posted on | 8月 9, 2015 | No Comments
美容室での男性カットが禁止されていたのを知っている人は美容師さんでも多くはいない。まして一般の人は知るよしもない。そんな「美容室での男性カット禁止」の通知を廃止する新たな通知が先月、厚生労働省より発出された。
いま美容室での男性カットは普通に行われている。
安倍晋三総理も月に1回は都内の美容室でカットをしている。その安倍総理のカットが法律違反だとして、ネット上で話題になり、それが一般マスメディアでも取り上げられたのは記憶に新しい。
53年通知というのは、当時理容・美容間で起こった業権闘争で、政治家を仲介して双方が合意したものだ。「美容室での男性カットはパーマネントに付随したカットに限る」、「理容店での男性パーマは限定的にできる」というのがその概要である。
当時、男性は理容店、女性は美容室という暗黙の前提のもと、理容店はカット(刈り込み)、美容店はパーマネントという業の定義を踏まえた妥協案として発出された通知だった。
あれから37年、時代は大きく変わった。男性・女性の性差はなくなった。理容師法、美容師法にも性差条項がない以上、男女で分けた通知などおかしい。ジェンダレスは社会の流れであり、このような通知はもっと早く撤回して当然だった。
53年当時の理容・美容間の業権闘争は、美容師の刈り込み行為、理容師のパーマネント行為が問題となったのだが、今回の通知撤回により双方ができることになる。つまりお互いが双方の業権に踏み込めるということであり、理容・美容の違いは希薄になった。
あえていえば、顔剃りだが、これも昭和22年通知で「化粧に付随する」という条件はつくが美容師もできる。
実質的にはすでに理容・美容の業務上の違いはない。洒落た理容店を美容室だと思って入ってくる女性客もいるし、サインポールを出して男性客を積極的に呼び込んでいる美容室もある。
この際、理美容が統合してもおかしくない。
逆に理容・美容の業界が分かれていることによる弊害がある。
国際基準は理容・美容は一緒なのに対し、日本では分かれていることによる弊害が目につく。
一例をあげれば、今月ブラジルで行われる技能五輪国際大会である。日本からは今回美容種目で選ばれた選手が出場するが、日本では理容職種、美用職種に分かれて予選が行われ、理容・美容の代表が交互に国際大会に出場する。これでは上位に入賞するのは難しい。
技術ではすでに世界を牽引するレベルにある日本の理美容業界だが、国際大会で入賞が難しいのでは評価も下がろう。
また、理美容の国際組織であるOMCに関しても、日本では統一組織になっていないために、全理連と全美連が交互に代表を送っている。これでは日本の発言力は強くはない。
この際、業界も統合を目指すべきである。それが理美容業界、ヘア産業の将来の発展につながる。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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