総中流化を目指す政策を
Posted on | 4月 10, 2015 | No Comments
美容業界は長期に低迷していて、なかなか浮上できない。パーマの復活作戦、トータルビューティ、ヘッドスパなだなど、いろいろなメニューを試みているが、業界全体としては低迷したまま、と言わざるをえない。
どこに原因があるのかというと、消費者が求めているのは結果の出る技術なのだが、業界はそこに気づいていない、というのが私の見解だ。
それと、もう一つはいまの経済環境にある。これは業界に起因するわけではないが、多くの消費者に金銭的な余裕がないためだ。
アベノミクスで一部の企業や金持ちは潤ったが、円安で輸入品は上がり、賃金の上昇がこれに追いついていない。
安倍総理が進めるアベノミクスは、マスメディアには好意的に受け止められているようだが、評価は分かれている。私は否定的な見解をとる。とくに、理美容業界に好景気をもたらすか、という視点にたつと評価できない。
金融緩和でお金は溢れ、株式市場はバブル状態になっている。円安の影響でトヨタを筆頭に輸出関連企業の業績は良好だ。好業績に応じてこの春闘では高いベアを示した。
これは政府の意向でもある。しかし、この政策はいかがなものか。好業績な大企業に勤める社員にはいいが、下請け企業をはじめ中小企業の賃金は大幅なベアのアップは見込めないままだ。
政府は潤沢な資金を有する大企業に対し、社員の給与をあげるのでなく、下請け企業や関連の中小企業が利益を得られるような誘導をすべきである、というのが私の主張である。
大企業のサラリーマンの給与水準はすでに高いレベルにある。厳しいのは中小零細の企業で働く社員である。
と同時に、円安が続くと見込まれるいま、海外に転出した生産工場を国内に呼び戻し、サプライチェーンを構築すべきだ。それを誘導を図るのが政府の役目だ。そうすれば国内経済は活性化し、労働者が求められる。自ずと給与は上昇し、景気は良くなる。
理美容業界が好転するには、一般消費者の給与が上がるのを待たねばならない。理美容や飲食などの業種は、最後に好景気の恩恵を受ける下流産業といわれ、消費者の給与が上がり、生活に余裕がでなければ、景気はよくならない。
地方創生とからめて、プレミアムクーポン券が話題になっているが、これも一時的な効果しかないだろう。
継続した景気回復を図るには、円安を最大限に活かして、産業構造を変えることだ。
政府は資金に余裕のある大企業に対し、下流域にある産業を活性化させるような政策を打つべきだ。それが総中流化につながる。
このままでは、2極分化がさらに進むだけで、理美容業界全体が浮上するのは難しい。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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