25才の男性美容師さんへの提言
Posted on | 2月 9, 2015 | No Comments
今回は、「25才の男性美容師さんへの提言」と題する一文を。
美容業界に入ってくる若者は、いづれ独立して自分の店を持つのを一つの目標にしている人が多い。とくに男性美容師さんは、独立志向が強い。
その背景には雇われていたのでは家族を養うだけの収入を得られないという、切実な問題があるからだ。
ところがいま、独立開業はそう簡単にできる時代ではなくなった。資金面での問題が大きく、せっかく開業しても黒字化するまえに借金返済が滞る例は多いと聞く。実家が裕福で資金面で懸念がない人や、親がやっていた美容室を嗣ぐ人はいいが、そうでない人は独立開業のハードルは以前より格段に高くなっている。
美容室は相変わらず増加しているが、その裏には廃業数も新規開業数に迫る勢いで増えているのを見逃してはいけない。
美容業界に入ってきた若者は、美容という仕事が大好きだから入ってきたのだと思う。独立開業以外にも選択肢はある。近年は企業化した大手サロンもあるので、その会社の中でマネージメントに就くこともできる。また、ディーラーやメーカーのインストラクターとして美容の仕事を続けることもできる。
しかし、これらの仕事は美容技術以外の知識、専門性が必要で誰でもが就ける仕事ではない。
そこで、25才の男性美容師さんに提言する。
専門学校を卒業して5年、美容の仕事を経験し、美容が分かってくるのが25才だ。そこで一度立ち止まって、自分の技術力、接客力を点検して、将来を描いてみてほしい。自信を持って将来像が描けるのならいいが、そうでないのならダラダラと続けていても仕方ない。
男性美容師さんは40代、50代になると第一線で活躍するのは難しい。指名客は減り、給料も頭打ちになる。
独立をするのなら30才前後が一番がんばれる年代だが、はたして実現できる可能性はあるのか? 前述の独立以外の選択肢はどうか?
男性美容師さんが自分の将来の人生を見つめ、決断するのが25才だ。決断が難しいのならせいぜいあと3年、28才までだ。
その決断の中には美容業界と決別する、という選択もある。25才なら人生、やり直せるからだ。ずるずると40才まで美容師を続けて、つらい人生を過ごすよりは、数段優る選択だと思う。
美容業界は人手不足といっている一方、オーバーショップともいっている。美容師が増えれば、美容室は増えるわけで、実に矛盾している。自分勝手なご都合主義としかいいようがない。人手不足をいうなら、入ってきた若者が定年の60才まで世間並みに働ける環境を整えるべきである。
それが美容業界に対する私の至言である。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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