理美容向け業務用化粧品市場、2024年度は1,611億円に拡大|矢野経済研究所
Posted on | 6月 17, 2025 | No Comments
矢野経済研究所は、国内の理美容向け業務用化粧品市場に関する調査結果を発表。2024年度の市場規模はメーカー出荷金額ベースで前年比102.7%の1,611億円に拡大した。
コロナ禍からの回復により各社が新ブランドや既存製品のリニューアルを進め、加えて製造コスト高騰を背景にした価格改定が売上の底上げに寄与した。また、理美容サロンを起点とするECチャネルでの専売品販売が引き続き堅調で、市場の拡大に拍車をかけている。
一方で、物価上昇が消費者の生活を直撃し、サロンへの来店頻度や利用メニューに影響を与えている。加えて、美容室の倒産件数が増加傾向にあることも注目。厚生労働省のデータによれば、美容室の数自体は増加基調を維持しているが、ゼロゼロ融資の返済が本格化したことや、光熱費や人件費の上昇により、経営難に陥る店舗が増えている。特に、売上が回復しきれていないサロンにおいて、資金繰りが悪化し倒産に至るケースが多い、と分析している。
また、美容師の国家試験合格者数は増加傾向にあるものの、結婚や出産による離職、他業種への転職などを背景に、実働美容師数はむしろ減少傾向とみられ、これにより、現場では深刻な人手不足が常態化しつつある、とみている。
理美容化粧品メーカーは、こうした構造的課題に対応するため、サロンユーザーとの継続的な関係性構築に注力。具体的には、LTV(顧客生涯価値)を重視し、ヘアケアなど高付加価値メニューの提案を強化。ユーザーのロイヤル化とリピート購買を促す戦略を進めている。
価格改定については、2023年から2024年にかけて大手・中堅メーカーを中心に進められてきたが、2025年度には一巡する見通しだ。そのため、今後の業界成長は、出店過多や美容人口の減少といった構造的課題の克服が鍵となると分析。
また今後については、市場は当面横ばい、あるいは微減傾向で推移する可能性が高い、と予測、各社の対応力が問われる局面に入っているとしている。
出典は、同研究所が2025年3月27日に発刊した「2025年版 理美容化粧品マーケティング総鑑」。
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