増える、白髪染めをしない中高年女性
Posted on | 11月 1, 2018 | No Comments
平成時代の終盤、白髪染めをしない中高年女性が目立つようになりました。
テレビの昼間の情報バラエティ番組で、美容評論家を称する某女史が「美魔女疲れの反動」によるものと解説していました。うまい表現をするものです。
白髪染め・ヘアカラーは昭和の時代からありましたが、平成の時代は美容店の大きな収益メニューになりました。「日本人に黒髪は似合わない」と高々とうたい積極的にヘアカラーを推進してきた美容業界です。平成8年(1996)に日本ヘアカラー協会が旗揚げしました。
平成の時代はヘアカラー興隆の時代ともいえます。しかし平成時代の終わりに、新しい動きが見えてきました。前述の美容評論家女史の「美魔女疲れの反動」には一時的な現象のニュアンスがありますが、一時的なものではなさそうです。
多様化の一つとしてのナチュラル志向の根強い支持があります。実際、美しい白髪の著名女性がマスメディアに露出しています。「グレイヘア」とネーミングされ、メディアでもてはやされています。
無垢な白さは、鮮やかな赤との相性がよく、赤い口紅とのコントラストが大人のオシャレな女性を演出します。老いの象徴の白髪を「グレイヘア」として楽しむ大人達が増えています。
また、これとは別に消費者庁のヘアカラー剤によるアレルギー事故の報告があり、それを受けて日本ヘアカラー工業会などが理美容業界や一般ユーザーに対し注意喚起をしています。これらの情報提供は平成29年(2017)から行っていますが、その情報が浸透してきたのも、白髪染めの敬遠を後押ししたようです。
2018年10月31日に開かれた厚生労働省の「厚生科学審議会」でも消費者側委員からヘアカラーによるアレルギーの危険性を継続して告知するよう求める意見がありました。
さらに、白髪染め・ヘアカラーにかかる時間と費用を節約したい女性も増えています。節約志向としての「グレイヘア」です。
健康志向とナチュラル志向、節約志向が合致しての「グレイヘア」のトレンドです。一時的な流行とは思えません。
もちろん、白髪染め・ヘアカラーをする女性はこれからも多くいますが、「グレイヘア」を楽しむ女性は、平成の次代もいます。多様化の流れのなかで、美しい「グレイヘア」は一つのベーシックスタイルとして定着しそうです。
理美容業界にとってはヘアカラーメニューの不振につながる可能性もありそうですが、悲観ばかりする必要はありません。
理美容業は流行のトレンドを先読みして、いち早く取り入れてきました。「グレイヘア」をより美しく見せるための方法、技術を提供することです。多様化するヘアスタイルを先読みし、新しいトレンドを提案して、新たなニーズを創造する、それが理美容業界です。「新たなニーズを創造する」ことは床屋、髪結のむかしから続く、この業の本質といえます。
タグ: ヘアカラー, 理美容ラウンジ, 白髪染め