理美容の統合も視野に? 規制改革会議
Posted on | 5月 9, 2015 | No Comments
理容と美容の統合が現実味を帯びてきた。理美容の規制見直しを審議している、規制改革会議・投資促進等WG、第8回WGの議事録をみると、その思いを強くする。
理美容の規制見直しに関するWGでのテーマは、出張理美容、理美容師の混在店、洗髪設備が上がっている。このうち、理美容師の混在店を中心に議論が行われている。混在店は理美容の統合に向けた一里塚ともいえるもので、WGの核心的な議題になっているのがうかがえる。
全美連、全理連の理事長・役員らがそれぞれ参考人として個別にヒアリングを受け、両業の違い、消費者ニーズが多様化するなか両業がそれぞれに存続すべきであること、また提案者であるQBハウス1社を利するために混在店を認めるのは疑問である点などを主張した。
これに対して委員からは、ニーズが多様化しているからこそ、一つの店で対応すべきで、利用者の利便性からも、また理容・美容両業界にとってもメリットがある、などの意見が出されていた。
理容と美容の違いは僅かである。一般の人は分からない人が多いと思う。
理容は顔剃りをするが美容はできないことになっている。しかし、WGで美容側参考人は化粧に付随する顔剃りは行っている、と発言している。また、課長通知で美容店での男性カット(パーマが付随しない)はできないことになっているが、理容側参考人は安倍首相の例をあげ、容認している現状を語っている。
これでは、理容と美容は全く違う職種だと主張する業界側に矛盾を感じる委員が大半だろう。
委員の中には、いづれ理容がゼロになれば一本化になってしまう、など失礼な発言もあったが、理容・美容業者のなかから統合を求める意見がでてもいい、といった発言もあった。
確かに理美容業界で統合の是非に関して、喧々諤々の論争はない。個々の業者は統合されても、さしたる影響はないと思っているのかもしれない。実際、そうだろう。
これが独占業務に関わる話なら別物だろうが、統合は逆に業域が広がる。理容美容双方の技術者、経営者が歓迎してもおかしくない。
WG委員が指摘するように、利用者にとってもワンストップでサービスを受けられる大きなメリットがある。
統合で困る(というほどではないが)のは、日本理容美容教育センター、理容師美容師養成施設、理容師美容師試験研修センター、また生営法に基づく理容・美容の生衛組合、連合会ぐらいだろう。
教育・試験の実施機関は事務的な作業が伴う。組合については、生営法における業法との関係が不明確なのだが、両組合が統合されるのか、もしくは飲食のように理容組合、美容組合がそのまま存続することになるが、これは少し混乱する恐れもある。それにしても加入率が理容は半数をやや超えているものの、美容は3分の1ほどでは、業界全体にしてみればたいしたことではない。
理容美容の統合は、業界発展の第一段階である。問題はどういう将来像を描くか、そのビジョンである。
WGの発言の中に、米国のコスメトロジストがでてきた。ヘア、ネイル、エステ、メイクなどなど美容に関するオールマイティなライセンスとして、理美容師を位置づけようということだろう。それも一つの方向性だろうが、米国のコスメトロジストには問題も指摘されている。
コスメトロジストもいいが、それを含めて、よりよい理美容業界にするため、理美容業界あげて検討すべきだと思う。
なお、第8回WG以外にも11回WGで、理容師美容師のテキスト編纂や国家試験などについての審議が行われている。これをみると、混在店にとどまらず統合も視野に入れていると判断できる。
また規制改革会議で、理容師法美容師法が議員立法であることを認識しつつも、規制改革は法改正がともなう改革も積極的に遂行していく姿勢を強調している。
いづれにしても今回の理美容の規制見直しは、法律改正を伴う抜本的な改正になりそうだ。
*今回のコラムは下記の記事を踏まえています
【理美容関係の規制緩和】
http://ribiyo-news.jp/?p=14892
タグ: 理美容カフェ, 規制改革