何年経っても平均年齢が30歳前後のままの理美容
Posted on | 3月 20, 2013 | No Comments
卒業式シーズンもほぼ終わった。
昼間課程で学んだ学生もいれば、夜間課程で学んだ学生もいる。中学を卒業し高等課程で学んだ学生もいる。このほか通信課程もあり、理美容業界には多様な教育システムが混在している。
文科省の学校基本調査によると、今年卒業した学生が入学した2011年の入学者数は、理容科850人、美容科1万8555人、合わせて1万9405人だ。同調査では、入学者のおおよそ9割の学生が卒業している。文科省以外の養成施設や通信課程で学んだ学生を入れると、この1年間で約2万4千人ほどの若者が理美容業界に入ってくる。
卒業生の中には、2年前の東日本大震災で被災し、避難先で地元の美容学校に入学した30代の男性や、福祉理容の実践するために子育てを終えた年齢の女性など、異色な人もいる。もちろん20歳の若者が大半で、みなさんそれぞれ夢を抱いて業界に入る。
何校かの卒業式を取材する機会を得たが、式辞、来賓祝辞で、多くの先達者は努力することの大切を説いていた。
しかし、みんなが懸命に努力するとなると、努力が報われない人もいる。むしろ報われない人が多いだろう。努力が報われないばかりか挫折を味わうことも多々ある。
そんなとき、業界を去ってしまう若者が多いのは残念だ。やり直しができるのは若者の特権だが、挫折を乗り越えて、なお努力を続ける、そんな継続する意志が人生を切り開くのだろう。挫折も経験しないで、すんなり目標を達成できたとしたら、老婆心ながら、逆に脆く、危うい。
卒業は夢と希望に満ちた船出だ。しかし、長い人生、辛いことや悲しいこともある。そういう経験をするから喜びが輝く。挫折を経験するから成功が光る。
それにしても昨年、日本の従業者の平均年齢は41.7歳(賃金構造基本統計調査、以下同)なのに対し、理美容業界のそれは28.7歳というのは、辞めてしまう若者の多さを物語っている。IT業界のように新しい産業なら分かるが、理美容業界は10年前の平成15年も30.0歳で、この10年間、平均年齢はほとんど変化がない。
多くの若者が独立を目指していることもあるが、逆にいうと独立せざるを得ない労働環境にあるのも確かだ。そして近年、その独立が難しい環境になりつつある。
これでは美容業界を目指す若者が減っても仕方ない。
(卒業シーズンに寄せて)
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