衛生行政、生営法の抜本見直しが必要
Posted on | 6月 21, 2011 | No Comments
組合員の減少に歯止めがかからない。理容組合、美容組合に限らず、生活衛生業全体が減少している。当然、組織率も下がり続けている。
生営法(*)が施行された昭和30年代当時は、生衛16業種の平均で7割、組織率の高い組合(理容業)は9割近くあったという。それが現在では組織率50%を超えているのは理容業だけで、他の15業種は業者の半数を大きく割っている。
生営法では、業界の代表としての組合を50%以上としているが、それは設立時の話であって、50%を割り込んでもその業種の代表であるには変わりない。ところが、40%、30%を下回ってくるとはたして業界代表としての組織として位置づけていいのか、率直に疑問に感じる。
先日開かれた、生衛業の税制・融資を検討する会議(ワーキンググループ、写真/2011年6月16日)は、生衛業の衛生規定の遵守と表裏一体のものとして税制・融資の優遇を検討したのだが、もう一つのテーマとして組合そのものがテーマだったいえる。
それは、組合加入者のメリットを税制・融資を通じて、組合への加入を促す側面があるからだ。
地方行政を担当する構成員は、衛生通知などについて徹底するためにも組合の存在意義は大きいと語っていた。実際、組織率が減少してくると、行政が全業者に徹底するには大変な労力がいるという。
行政にとって組合の価値は大きいのだが、同じ税金を払っている非組合員と差別することは、法にもとの「平等の原則に反する」ことを指摘する発言もあった。
その一方で、組合限定の優遇税率の融資制度を設けても、組合員の増加には結びついていないことをデータをもとに述べた日本政策金融公庫の構成員の話も説得力があった。
組合員の減少は,組合そのものに問題があると指摘で、これは組合にとっては痛い指摘だろう。
生営法が施行されて約半世紀、この間社会は大きく変わった。はたして半世紀前の法のままでいいのか、根本的に厚生労働省の生活衛生行政を見直す必要がある。
まず,対象としている16業種にしても、同じ食品を扱う青果業が入っていないのはおかしい。一口に生活衛生業といっても、食品加工・販売、飲食、ホテル・旅館、浴場、興行、クリーニング、そして理容・美容と多岐にわたる。
理容・美容などの、いわゆる対人使役サービスにしても、エステティックやネイルが入っていない。
生活衛生行政を見直す際には、まず国民の生活衛生に係わる、あらゆる業に対して網を被せることが求められる。業種、業態も刻一刻変わる今の時代、その変化に対応できる柔軟性も必要だ。
そして行政は、国民の安全な生活を守るという観点から、サービス(販売)を提供する、人、施設、事業者(経営者)の衛生措置を定めることになる。
また、現在は対象とする業種に振興策も講じているが、厚生労働省はその本分である衛生行政に的を絞り行うことにし、振興策・助成策については経済産業省・中小企業庁に任せばいい。厚生労働省の生活衛生業への指導行政は、その範囲、業者数・事業者数が多いだけに、衛生行政に専念すべきだろう。
そして,組合、生営法だが、これも根本から見なさなければならない。当然、いま行なっている補助金事業や日本政策金融公庫の融資なども、廃止を含めた抜本的な制度の見直しを検討する時期に来ている。
*生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
http://ribiyo-news.jp/?p=889
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