「5坪サロン」の提案
Posted on | 5月 9, 2015 | No Comments
美容業の新規開業件数は、相変わらず多い。毎年1万店を超す美容店が新規開業店として登録される一方で、8千店ほどが廃業している。高齢にともなう廃業もあるが、開業したものの経営がうまくいかずに廃業するケースも多い。
自己破産に追い込まれての廃業も最近よく耳にする。廃業件数は、さらに増えそうな勢いである。そこで、失敗しない新規開業店として、私は「5坪サロン」を提案したい。
「5坪サロン」、要は経費を極力抑えた美容店である。
基本は、
・1人営業
・予約制
そして通常の技術メニューのほかに、近隣店にはない、特長のあるプラスX(エックス)のメニューがあること。
美容業界に入ってくる若者は、いずれは独立して一国一城の主になるのが目標だろう。その目標を叶えるのがこの「5坪サロン」だ。
「5坪サロン」から始めて、手腕・才能によっては、規模を大きくすることも可能だし、顧客との一対一の関係を大切にするのを理想とするなら、「5坪サロン」を生涯、続ければいい。いま公務員の年収は840万円というが、そのくらいは稼ぎ出せる。
私が「5坪サロン」を提案する背景には、いまの美容業界の構造的なアンバランスな商習慣あるからだ。独立開業に失敗するのは、美容師さんを取り巻く周辺の業者にも責任があると痛感する。
最先端の店舗デザイン、最新の機器を提案し、個々の美容師さんの身の丈にそぐわない資金計画を立てる。銀行からの多額の借入金が発生する。
また、開店時には要りもしない用剤を一式、ごっそり備えさせる。こうして業者の皆さんは、美容室の開店に携われば、大きな収益があがる。実際、美容室が経営面で苦戦している割には、好業績を上げている周辺業者は多い。
言葉は悪いが、美容師さんを食い物にしているとか私には思えない。だから、この「5坪サロン」を提案するのだ。
5坪程度なら、内外装費用も少なくて済むし、住居の空きスペース、マンションの一室でも開業できる。椅子やシャンプーボールなどの備品や設備は、何も新品を揃える必要はない。ネットなどを活用して探せば、中古品、新古品はたくさんあり、格安で手に入る。
5,6坪の店でも業界の業界の専門会社に依頼すると、1千万円近く、場合によってはそれ以上かかるだろう。しかし、内外装は地元の業者に施工してもらい、他は自らが準備すれば300万円でもでオープンできる。このくらいの資金なら、開業までに蓄えられない額ではない。
開業当初から計画通り集客するのは、いま極めて難しい。損益分岐点に到達する前に運転資金が底をつき、不本意ながら廃店するケースが多い。
「5坪サロン」でも開店当初の集客は簡単にはいかないだろうが、負担が少ない。その間に徐々に客を増やしていける。そのためには、特長のあるプラスXのメニューが大切になってくる。
スタッフを抱えての開業となると、オープン当初から美容店検索サイトや情報誌に割引きクーポンを使った集客が必要になる。この費用がバカにならない。「5坪サロン」の集客の基本は口コミだ。動きは遅いかもしれないが、プラスXのメニューがあれば、徐々に客は集まるはずだ。
「5坪サロン」成功の鍵は、このプラスXのメニューにかかっているといえる。そのプラスXのメニューはいろいろある。店主の得意分野、目指す方向に沿ったものを店の看板メニューとして用意すればいい。
この「5坪サロン」は新規開業者だけでなく、いま美容室経営に行き詰まっている美容師さんにとっても選択肢になる提案だ。
業界では盛んにトータルビューティサロンを提案しているが、これは周辺の業者を儲けさせるだけだ。周辺業者の口車に乗ってはいけない。
次回は前述したプラスXのメニューについて詳解したい。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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