大地殻変動に備え、理美容師さんも意識改革を
Posted on | 6月 9, 2013 | No Comments
アベノミクス効果で、多くのエコノミストは日本経済回復を期待するコメントをしている。
確かに、アベノミクス効果で経済は動いた。株価は大きく値上がりしたあと、いまは乱高下している。円安の影響で、輸出産業は潤う一方、輸入品は値上がりし、燃料や食料品の価格が上昇した。地価や不動産は今後の値上がりを見越して、活況を呈している。
銀座の高級クラブにも客足が戻って来ていると報道され、震災後の復興景気で沸いた仙台の夜を街を思わせる。
しかし、実体経済の景気はどうだろう。一部の資産家や大会社の経営者を除いて、国民の大半は景気の回復を実感していないだろう。
少なくとも理美容関係は、政府が発表する物価指数や家計調査のデータを見る限り、相変わらず不況下にある。
今月、安倍内閣の3本目の矢が放たれる。その先駆けとなる、規制緩和策が先日発表された。そこには、成長分野として、農業分野、医療分野、保育所の緩和の方針が盛り込まれた。
また6月5日には「大胆な目標」が示された。これを発表している最中に株価は大幅下落した。成長戦略への失望売りだ。
成長戦略という3本目の矢が的を射貫けば、景気回復の期待が持てるのだが、いまのところ懐疑的にならざるをえない。
例えば保育所の規制緩和だが、保育所が増えて子供を預けて母親が働く環境が整ったとしても、肝心の働く場所がなければ意味がない。
要は、働く人の収入が増えなければ、消費は増えようがないし、景気は回復しない。そのためには人手不足の状況にならなければ、給料は上がらない。
ところが、すでに日本の産業は以前とは違った構造になっている。製造業は海外への移転が進み、下請けの製品は海外で生産され、それを輸入する。円安では輸入部品は割高になり、以前のような利益をもたらすことはない。
バブル崩壊後まもなく、遅くともリーマンショック直後だったら、3本の矢の効果は期待できたかもしれないが、すでに時を失した感がある。日本の借金は急速に膨張し、国債の金利が1%金利があがれば、10兆円の負債が増える。これでは、日本の経済はいつ破綻してもおかしくない。
いまとなっては、既得権益に群がる族議員や業界団体を完全になくすくらいの大胆な規制改革を打ち出さなければ現状は打開できないと思うが、安倍政権にそれを期待するのは無理だろう。
となると、残念ながら、いずれ近い将来、日本の経済はスタグフレーション、もしくはハイパーインフレに陥り破綻する。私の診立ては、エコノミストの楽観的な診立てとは違う。
日本経済は、根底からの地殻変動を起こす可能性がある。その変動に理美容業はもとより日本国民は備えておかねばならない、というのが私の提言だ。
いま理美容業界には3つの壁が立ちはだかる。売上減、客数減、そして人手不足だ。日本経済が地殻変動を起こそうとしている最中、これらの壁を乗り越えるためにはどうするか?
大切なのは従来とはまったく違った異次元の変革が到来するという意識を持つことだ。
いま必要なのは、新しいパラダイムに備えるための意識改革である。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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