オールウエーブセッティング　必要性低いが半数以上

Posted on | 3月 11, 2022 | No Comments

第2回美容師の養成のあり方に関する検討会
厚生労働省の第2回美容師の養成のあり方に関する検討会が2022年3月10日開かれ、美容師実技試験に関するアンケート結果などを踏まえ、美容師実技試験、実務実習などについて、意見を交わした。今回の議論をもとに事務局（生活衛生課）が案をまとめ、今月30日の次回検討会で結論を出す予定。

同検討会は、美容師国家試験で行われるオールウエーブセッティングについて現実的でないとする陳情から設置された。前回検討会で各委員はオールウエーブセッティングの必要性は認識したが、今回の検討会では、基礎的な技能を重視するか、より実践的な内容を重視するかなどについて検討された。

オールウエーブセッティングをピンカールとフィンガーウエーブに分けて行った全美連のアンケート調査では、カットとワインディングについては「必要性が高い」と回答した美容師が8割を超えたのに対し、ピンカールは26.6％、フィンガーウエーブは15.8％と少なかった（グラフ参照・＊）。逆に「必要性は低い」と回答したのは、カット、ワインディングが一桁だったのに対し、ピンカール51.1％、フィンガーウエーブ61.9％と半数を超えた。

オールウエーブセッティングに批判的な委員からは、実践的でない技術が試験の課題になっていることで、試験合格のために実習時間の多くが割かれる、などと指摘した。
別の委員からは、オールウエーブセッティングにはコームワークなど美容師にとって基本となる技術が含まれているとする意見もあった。
委員として参加した吉井眞人全美連理事長は「美容学校で学ぶことは多くなった。業務独占を前提として実技試験を見直していくことも必要」と述べた。

また、まつ毛エクステンションやヘアカラー、接客などを実技課目とすることについては、接客は必修でないため論外だが、まつ毛エクステンションは必修としていない美容学校があり公平性の観点から見送られたものの、将来的には検討する可能性も残した。
ヘアカラーについては、評価基準や実施方法に難点があり、実技試験としては現実的ではない。

多岐に及んだ意見を次回までに事務局がまとめることになるが、忘れてはならないのは理容師試験との関係である。
理容師試験の実技試験では、顔剃りのほかにミデアムスタイル7・3分けという髪型が採用されている。この髪型、昭和の時代ならともなくいまはまず見かけないが、この髪型を作るには基本的な技術が含まれており、これらの技術を習得していれば、流行のスタイルまで応用できるとされる。
オールウエーブセッティングに美容師として必要な基本的技術が含まれているかの判断が一つのポイントになりそうだ。

なお検討会では、実務実習や離職を防ぐための産学連携などについても議論されたが、たとえば「即戦力」の認識についても委員によってズレがあるなど、議論は深まらなかった。

＊グラフ中「その他」は、「わからない」「無回答」。

【関連記事】
美容師の養成のあり方に関する検討会　開く
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美容師制度に関する提言　河野太郎行政改革担当大臣に
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NHKも首都圏ナビ「Webリポート」で紹介
美容師の養成のあり方に関する検討会の開催を受けて、NHKは同日、首都圏ナビ「Webリポート」で国家試験問題について報道した。題して「美容師試験の実技課題「オールウェーブ」は “時代遅れのスキル”？」

オールウエーブセッティングの技術や美容学校での取組みはじめ業界関係者らのコメントを掲載するとともに、クリーニング師や建築士など他の国家試験も紹介。クリーニング師も建築士もオールウエーブ同様、資格試験と現場の実態に隔たりがあると指摘。

取材した首都圏局の高橋弦ディレクターは「今回、美容師業界では、現場の方たちの声から見直しの検討が動き始めました。素朴な疑問や理不尽に、勇気を持って現場から声を上げる。その重要性を感じた取材でした」と結んでいる。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20220210a.html

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