元気なのは「お値打ちサロン」
Posted on | 2月 14, 2020 | No Comments
このコラムで「日本の美容料金は安い」というタイトルで記事を掲載したが、これは世界的に見れば、であって国際比較の話である。
一方で、理美容業は国内産業である。海外展開しているサロン企業もあるが例外といえる。ほぼすべての理美容店、サロン企業は日本に住む人を客としている。インバウンドで外人客が見込めるといっても余録的なもので、基本は日本の客だ。料金は日本の国内事情に左右される。
日本の美容料金は世界と比べて安い。しかし安いのは美容料金だけではない。日本では100円ショップが繁盛しているが、100円ショップに並べられている商品は、アジアでは150円程度、欧米では250円程度で普通に売られているという。
日本では生鮮食料品などを除き、生活に密着した商品、サービスは全般に安いといわれている。必需品的な商品やサービスは安定した需要がある反面、価格競争に陥りやすい。とくに美容業はオーバーショップの供給過剰状態にある。簡単には料金アップできない。
政府統計ではデフレから脱却したことになっているが、数字の面ではそうかもしれないが、心情的にはまだデフレが続いていると感じている人が多い。20年以上も続いたデフレ、その間に染み込んだコストパフォーマンス志向は、そう簡単にはぬぐえない。
高級美容室の顧客は、富裕層といわれる人や、金銭的に余裕があり、美意識に高感度なOLらだろう。彼女らもコスパ意識ははたらいている。同程度の内容なら、安いほうを選択する。高級美容室も料金アップは慎重にならざるをえない。安易な料金アップは失客に直結する恐れがある。
その結果、皮肉なことに、世界的にみて料金の安い日本の高級美容室は、外国人富裕層の訪日客を呼び込む「キラーコンテンツ」になる。
いま日本の理美容業界で繁盛しているのはカットやヘアカラーに特化した専門サロンだ。「お値打ちサロン」ともいう。コスパに優れた店である。日本の消費者物価指数が上がらないのは、所得が十分に上がらないことや、老後不安による貯蓄志向が根底にあるのだろうが、なんといっても消費者のコスパ志向だろう。
高級美容店の料金が上がれば、それに続く美容室の料金も上がる、と期待する人もいるが、そう簡単ではない。それが日本経済の現状といえる。
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タグ: お値打ちサロン, メンテナンスサロン, 理美容ラウンジ