「美ンバウンド」は限定的
Posted on | 2月 5, 2016 | No Comments
昨年、日本を訪れた外国人観光客は2000万人には届かなかったものの急増した。中国人観光客による爆買いが話題になり、その経済効果、インバウンドという言葉が普及した。今年はインバウンドに代わり、「美ンバウンド」になるそうだ。
外国人観光客による、理美容サロンはじめ、ネイル、エステティック、リラクゼーションなど美容系業種への経済効果が期待される、という。
「美ンバウンド」は、リクルート社が、今年のトレンドキーワードとして昨年末発表した造語(「美(ビ)ンバウンド」と称す)だ。この背景には外国人観光客の大半が東南アジアからの客で、しかもリピーターが多いことがある。
リクルート社によると、東南アジアの多くの人から、日本の美容系の技術、接遇は、韓国や仏国を上回る高い評価を得ており、日本の優れたモノの購入が一巡した次は、美容系のサービスを堪能しに来日する観光客が増えるとの予測だ。
すでに、東南アジア客を対象に、外国語のできるタッフを配置し、外国人向けにメニューをつくり、成果を上げている美容サロンもある。旅行会社も美容系サービスを組み込んだパック旅行を東南アジアで発売し好評だという。
「美ンバウンド」は夢のあるストーリーで話題性も十分あるが、「美ンバウンド」の恩恵を受ける美容系サロンは限定的になるだろう。
外国人観光客を受け入れるには、まず言葉の壁をクリアしなければならない。受付に外国語のできるスタッフを雇用すればいいのだろうが、これができるのは理美容サロンでは大手しかできない。業界の大半を占める零細・小規模なサロンは経営者、技術者自らが外国語会話を修得しなければならないが、一朝一夕に身につくものではない。
また、外国人観光客を誘致するには情報発信や旅行会社とのタイアップが必要だが、これができるのも業界では数少ない大手に限られる。情報発信にはホームページなどを活用することでもできるが、外国語での情報発信となると簡単にはできない。
結局、「美ンバウンド」の恩恵に預かれるのは、大都市圏、有力観光地に立地する大手サロンに限られる。
昨年のインバウンドは、小売業の経営指標を押し上げるほど大きな経済効果をもたらしたが、「美ンバウンド」は限定的で、経済統計に影響を与えるほどの効果は難しそうだ。
ただ美容系の業種にとっては夢のある話であるのは間違いない。
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