理美容師の賃金 平成23年調査より
Posted on | 3月 20, 2012 | 2 Comments
理美容師の賃金は、残念ながら安い。政府が2012年2月22日に発表した賃金構造基本統計調査(平成23年)をみても、他産業と比較するとその安さが際立っている。
この調査は10人以上の企業に雇用されている従業員の賃金を調べたものだが、理美容業の特徴として、賃金の安さの他にも、平均年齢が若い、勤続年数が短い、などがあげられる。
賃金は年収に換算すると、理美容が282万円なのに対し一般は471万円、平均年齢は理美容が28.4歳で一般は41.5歳、勤続年数は理美容が5.6年で一般11.9年といった具合だ。
平均年齢が若いぶん賃金が安くなるのは仕方がないが、この背景には年齢が上がるにつれ辞めていく、辞めざるを得ないという、この業界の実態がある。
男性の理美容師は20歳から34歳までで被雇用者の87%を占める。35歳以上は12%で、40歳以上となると6%しかいない。
一方、賃金は40歳から44歳をピークにした弧を描いている。年齢とともに徐々に上昇していくが、40歳から44歳を頂点に下がってしまう。家族を養っていれば一番、お金が必要な時期に賃金が下降してしまうのでは辛い。
男性理美容師は40歳が人生のターニングポイントになっている。独立開業して一国一城の主になるか、理美容業を廃業するかである。
女性の理美容師は男性の場合と違って、賃金のピークは55歳から59歳と高い。そのぶん継続して勤めやすい環境にあるともいえるが、やはり35歳以上の離職者は多く、20歳から34歳までで80%を占める。
また、理美容師が他の理美容サロンに転職する場合の賃金が年齢に見合った金額になっていないのも、廃業が増える一因になっているのだろう。若いうちの転職ならまだしも、ある程度経験を積んだベテラン理美容師の賃金は大幅に下がる。これでは業界に留まることは難しい。
理美容業は、人的集約産業の典型で、費用に占める人件費の割合が高い。そのため、サロン経営が苦しくなると人件費が抑制される。それも比較的高賃金を得ている層がターゲットになっているようだ。
世の中が不況になると、高給な理美容師さんが離職する一方、不況時には「手に職を」という意識が強まり、美容学校への入学者が増える。こうして理美容業界は人材を消費してきた。
しかし、これでは恒常的な人手不足に陥る。現に人手不足を嘆く経営者は少なくない。経営を拡大させるには、人的集約産業だけに人材が基盤になる。
これまでは、多くの若者がこの業界、とくに美容業界を目指して美容学校に入ってきたので何とか経営は維持できたが、これからは入学者の減少が予想される。そうなると、人手不足で立ち行かなくサロンが増える。
35歳以上の理美容師が継続して働ける環境を整えないと、中規模以上の理美容サロンの未来は拓けないだろう。
タグ: 理美容カフェ, 調査
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Comments
2 Responses to “理美容師の賃金 平成23年調査より”
2月 24th, 2013 @ 4:43 AM
[...] データ出典 → 理美容ニュース [...]
3月 15th, 2013 @ 4:22 AM
[...] データ出典元 → 理美容ニュース [...]