増え続ける、独立開業する男性美容師さん
Posted on | 9月 9, 2013 | No Comments
美容業界のオーバーショップは20年以上も前から言われている。しかし、美容店が減る兆しはいっこうに見えない。逆に増加の勢いが止まらない。
日本政策金融公庫が先月発表した創業融資実績によると、平成21年度から24年度までの美容店開業への融資件数は着実に増えている。
この背景として、男性美容師さんの開業が急激に増えていることがあげられる。
平成21年:726件
平成22年:860件
平成23年:897件
平成24年:1058件
といった具合だ。
この間、もちろん開業した女性美容師さんもいるが、おおよそ400件台で推移している。
なぜ、独立開業する男性美容師が増えたのか? 答えは簡単である。いまから12、3年前に美容ブームがあって、美容師を目指す男子高校生が増えたからだ。当時、木村拓哉が主演した美容店を舞台にしたトレンディTVドラマが人気になり、高視聴率をマークした。カリスマ美容師が注目されたのもその当時だ。
この2000年あたりを境にして、美容師を目指す男子高校生が急増した。それ以前にも男性美容師さんはいたが、いまほど多くはなかった。
美容ブームが巻き起こって以降、美容学校への入学者のおおよそ3分の1は男性、という状況が続いている。
その彼らが独立適齢期を迎えた。
平成24年度に独立した男性美容師さんの年齢をみると
29歳:93件
30歳:112件
31歳:120件
32歳:105件
33歳:114件
つまり、29歳から33歳までの5歳が、独立適齢期といえそうだ。そして、独立適齢期を迎えた男性美容師さんはこれからも続く。しばらくは男性美容師さんの開業ラッシュが続くのは間違いない。
男性美容師さんにとって、独立適齢期は結婚適齢期でもある。人に使われていたのでは、家族を養っていけないという事情もあって独立を目指す人もいる。女性美容師さんなら寿退職もあるが、男性はそうはいかない。
もともと一国一城の主を目指して美容師になった人も少なくないはずだ。新規開業した男性美容師さんには、オーバーショップで厳しい美容業界ではあるが、古参組に負けずにがんばってほしい。
独立適齢期の30歳前後なら、カット&ブロー中心の営業で勝負できる。数年後には、企業化するやり手も現れるかもしれないが、皆が皆、企業化できるわけではない。個人経営のまま晩年を迎える人が大半だろう。
そこで心配なのが高齢になってからの生計だ。自営業者は国民年金に加入するが、その受給額たるや微々たるものだ。厚生労働省によると平成25年度の支給額は満額で月額65541円だ。これではまっとうな生活はできない。自営業者は死ぬまで働け、ということだ。
ところが高齢になった美容師さんがカット&ブローで、千客万来というわけにはいかないだろう。カット&ブロー以外に収入の手立てを考えておく必要がある。
店販もいいだろうし、ヘアケア育毛メニューもいいだろう。カウンセリングなどは年の功がものを言うとあって、なおいいだろう。
と言葉を並べるだけなら簡単だが、仕事として店販、育毛、カウンセリングをするとなると、お客様を納得させるだけの的確な知識が必要になる。日々の勉強が大切になってくる。さらにいえば、それによって結果が出せれば、ファンになるお客様を多く抱えられる。
独立したての頃は、日々の業務に追われて、将来にまで目を向けにくいだろうが、いつかこの一文を思い出してほしい。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
タグ: 小山秀男の日々雑感