『非国民な女たち』戦時下のパーマとモンペ
Posted on | 3月 19, 2021 | No Comments
戦時色が強まるなか、「パーマネントはやめませう」の標語のもとパーマ排斥運動が起こったが、そんな国の指導をものともせず木炭を持参して美容室に出かける女性は少なくなかった。『非国民な女たち』(飯田未希、中公選書)。
著者の飯田未希さんは、立命館大学政策科学部教授(社会学)。明治期から大正、昭和にかけての女性の行動を当時の新聞記事などを調べ上げて分析している。
『非国民な女たち』では、サブタイトルに「戦時下のパーマとモンペ」とあるにように、戦時下におけるパーマネントをかける女性がメインテーマになっている。
戦時下、パーマネントだけが標的にされたわけではなく、奢侈な衣服や振り袖なども禁止され、「贅沢は敵だ」の標語で宣伝されたが、敵の前に「素」を足して「贅沢は素敵だ」とするなど、国民はしたたかだった。軍に飛行機を寄贈してご機嫌を伺った業界団体の対応とは違う。
パーマネントが戦時下でも女性にモテはやされたのには、女性のおしゃれに対する願望だけでなく、合理的な面もあって、むしろ戦時下にふさわしい髪型だった一面もあった。
女性学の視点でパーマネント、洋装化に焦点を当てた著書。
『非国民な女たち』
著者:飯田未希
中央公論新社
2020年11月発行
定価:1700円(税別)
書店のほか、インターネットからも購入できる。
タグ: パーマネントはやめましょう, 木炭パーマ, 本の紹介