理美容師の平均賃金 「賃金基本統計調査」平成22年より
Posted on | 10月 21, 2011 | No Comments
理美容師の平均賃金は月収23万3100円、年収は284万8900円。調査対象は10名以上雇用している理美容店に勤務する理美容師で、平均年齢は28.3歳。「賃金基本統計調査」平成22年より。(調査:平成22年6月)
よく受ける質問の一つに、理美容師の給与、年収がある。
賃金の情報は、毎年政府が発表する「賃金基本統計調査」を使うのが普通だ。しかし、この調査では、調査対象が10名以上雇用している事業所で、9人以下の雇用が多い理美容業界では最適なデータとはいえないが、他に信頼できる公的な調査データがないので、この数値を用いる。
「賃金基本統計調査」では、勤続年数(理美容師の平均5.4年)、所定内実労働時間(同181時間)、超過実労働時間(同8時間)、年間賞与など(同5万1700円)なども調査・発表している。
調査月は6月で、給与については5月のものを、賞与などは前年の金額を記入する。年収については理美容ニュースが「賃金基本統計調査」のデータに基づき計算した。計算式は月収×12+賞与 である。
また「賃金基本統計調査」では、「10~99人」「100~999人」「1000人以上」と事業所の規模別にに分類され、それぞれデータが発表されている。小規模零細が多い理美容は「10~99人」が半数以上を占める。最新の平成22年度版では調査対象の67.5%が「10~99人」だった。「1000人以上」の規模となると、数社しかない。今回は3.5%だった。
【賃金・賞与】
平成22年は284万8900円。前年は280万7200円で、1.5%上昇した。賃金は平成14年に305万6400円と300万円の大台を超えたが、超えたのはこの年だけで、以降290万円台、260万円台、280万円台と200万円台後半を推移している。
規模別では「1000人以上」が賃金水準が高く、372万円。ここ5年間連続して300万円を超えている。「100~999人」は289万円、「10~99人」は279万円だった。規模が大きくなると賃金も上昇する傾向が伺える。
賞与などは、平均で5万1700円だが、「1000人以上」では36万1300円と高い。高いといっても他業種に比べると決して高いとはいえない。理美容業界では多くの事業所が賞与というより、金一封的な金額しか支給していない。
【年齢・勤続年数】
平均年齢は28.3歳だが、「1000人以上」は34.2歳と平均を6歳ほど上回っている。「100~999人」は26.8歳、「10~99人」は28.7歳だった。
勤続年数の平均は5.4年。「1000人以上」が4.9年、「100~999人」は4.8年だったのに対し、「10~99人」は5.6年と長い。この傾向はこの5年来続いていて、小規模事業所は賃金は安くても、従業者にとって給与以外の魅力があるのかもしれない。
*賃金は安いけど
インターネットには、職業・職種別に賃金を比較するサイトがいくつかある。その多くは「賃金基本統計調査」をもとにしたデータを使っている。その類のサイトで賃金を比べると、理美容師という職業の賃金は残念ながら見劣りする。国家資格を必要とする職業の比較でもかなり見劣りする。資格を必要としない職業は幅が大きいが、理美容師より低い職業はすくない。
雇用された賃金労働者として単純に賃金を比べると、データの上では確かに見劣りするのだが、理美容産業に従業する人の多くは将来、独立開業することを目指しているし、また理美容業界の大半の事業所は家族従業者で営まれている。彼らは月々の売上の中から給与を得ている。給与と賃金は、厳密にはその定義が違うのかもしれないが、他業と賃金を比べるのなら、圧倒的に多数を占める理美容の零細事業者の給与も勘案しなければ、職業としての正しい賃金比較はできない。
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