堀純 中央理美容専門学校校長 2011年頭所感
Posted on | 1月 1, 2011 | No Comments
理容師一人ひとりの「自助努力」が必要
新年あけましておめでとうございます。皆さまには、お元気で新しい年をお迎えのこととお喜び申し上げます。旧年中は皆さまのご支援により、おかげさまで中央理美容専門学校も無事に運営を続けさせていただいております。
新年を迎えたとはいえ、現在の社会の状況は、これからどうなるのかと心配している人が多いと思います。理容業界においても各店の営業不振をはじめ、多くの問題を抱えています。
私も学校を預かり、その運営に苦慮しております。入学生が少ないということは単に学校だけの問題ではなく、理容業の将来にとって深刻な大問題です。理容業に入ってくる若い人が少ないことは10年、20年先の理容師が少なくなるのは目に見えています。現在は全国的に経営者が高齢になり、後継者があるお店はいいのですが、後継者がないお店も多いので今後は理容店の減少はあきらかです。このままではずるずると衰退してしまうでしょう。それでは明治時代日本に西洋理髪が入ってきた時から苦労して理容業の発展のために尽くしてこられた多くの先輩方に申し訳がありません。
今年こそ理容業の新しい出発にしたいものです。それには理容師一人一人の変革がどうしても必要です。考えをガラッと変えることが重要なのです。
例えば自動車業界の話です。自動車業界は世界的に競争が激しい業界で、常に厳しいコスト削減に迫られています。あるとき工場に5%のコスト削減の指令がでました。ところが削減につぐ削減で、これ以上の削減は1%でも無理な状況でした。そのときの責任者は、いままでのやり方ではこれ以上の削減は無理だろう。それならば今までとは全く別の考えで車を作ってみようと試みた結果、なんと30%の削減ができたというのです。このような成功例は世の中に一杯あります。
理容業は長い間、同じような営業を続けてきました。変わらないことも大切かもしれません。しかし、現在の延長で考えるのではなく、この考え方を根本から変えることが、今理容業界に必要なのです。いまやっていることをそのまま少しずつ修正しているのではもう間に合わないところまで来ているのです。
いままで理容業は組合の組織がしっかりしていたので、みんなが同じようにやっていても、営業が成り立っていたのです。営業が保障されていたのです。ところが、その反面、各お店、各理容師の自主性が育たなかったようです。「みんなでやれば怖くない」の横並び方式では通用しなくなっているのです。
現在の社会状況はどの業界のお客さまの志向は十人十色、一人十色に変っているのです。全国には約14万の理容店があります。同じ条件で営業しているところは1店もないのです。お客さまは全部違った人なのです。それでは同じようなことが通用するわけがありません。
理容店の一番良いところは何でしょうか。店主が自主的に営業できることだと思います。自分のお店のお客さまのために真剣に営業すればよいのです。自主的に自助努力することが一番なのです。
理容の仕事を原点にかえって考えてみましょう。皆さんの店はお客さまにとって何のために存在しているのですか。お客さまにとって、何をすれば喜んでもらえるのでしょうか。まず自分で考えることです。自分の店のお客さまにとって何をしたらよいか、しっかり考えることです。みんながやって成功しているからやるのでは成功しません。そして講習やいろいろな情報に頼ってはいけません。自分のために参考にするのです。
学校教育も変革を迫られています。新しい時代に対応できる能力が学生に必要です。しっかりと先を見据えて教育に取り組んでいく覚悟です。学生が理美容学校へ一人でも多く入学することに皆さまのご支援をお願いいたします。
理容師のみなさん一人一人が自主性をもって自助努力をすれば理容業はまだまだ捨てたものではありません。
今年は自助努力をもって新しい変革の年にしましょう。
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