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老けて見える人は、実際に老けている

Posted on | 8月 19, 2021 | No Comments

世の中には、見た目若い人がいる。逆に実年齢より老けて見える人もいる。見た目の年齢は、実は生物学的な年齢に近いのが花王 生物科学研究所の研究で明らかになった。

同研究所が2021年8月発表した。

花王 生物科学研究所は、加齢に伴って変動する皮脂RNAの発現情報と機械学習を組み合わせることで“生物学的年齢”を算出し、個々人で異なる肌老化の進行程度を推定できる可能性を見いだした。
 
今回の研究成果は、第21回日本抗加齢医学会総会(2021年6月25~27日、京都・オンライン開催)、第86回SCCJ(日本化粧品技術者会)研究討論会(2021年7月15日、オンライン開催)で発表、SCCJ研究討論会では最優秀発表賞を受賞した。

老化は、時間の経過とともに体のさまざまな機能が低下していく現象。しかし、暦年齢(生まれてからの年数)が同じでも、老化の進行程度や症状の現れ方はさまざま。そのような中、近年では、体の機能の低下程度から老化の進行程度を推定する“生物学的年齢”という考え方が注目されている。

花王が2019年に報告した皮脂RNAモニタリング技術は、肌を傷つけることなく、顔の皮脂から皮脂RNAを採取し解析できる技術。RNAやタンパク質などの生体分子情報は、加齢に伴い変化することから、生物学的年齢の推定に重要な役割を果たす。そこで今回は、皮脂RNAの発現情報を活用して肌の生物学的年齢を推定することができるかについて検討した。
なお同社は2019年に独自の解析技術「RNA Monitoring(RNAモニタリング)」を開発している。

皮脂RNAを活用した生物学的年齢の推定
花王は、これまでに、加齢に伴って皮脂RNAの発現パターンが変化することを確認している。今回は、20~59歳の女性113名を対象に、暦年齢と関連の強い368種類のRNAについてエンリッチメント解析を行なった。
その結果、加齢に伴って発現パターンが変化する皮脂RNAには、炎症や細胞死、細胞老化や表皮分化など、老化に関連する機能を担うものが多く含まれていることが明らかとなった。花王は、これらの結果から、皮脂RNAを用いてヒトの体の老化程度を推定できるのではと考えた。

そこで、同じ対象者で、加齢に伴って変動する368種類の皮脂RNAの発現量を用いて暦年齢を予測する機械学習モデルの構築と検証を行なったところ、皮脂RNAによる予測値と暦年齢には高い相関がみられました。
しかしその一方で、同じ年代の中でも予測値が高い人と低い人が存在。このことから、 予測値は個々人の老化程度の違いが反映された生物学的年齢を示している可能性があると考えた。

皮脂RNAを活用した生物学的年齢が肌の老化指標として妥当かどうかを検証
機械学習モデルから算出された年齢を生物学的年齢と定義し、肌の老化指標として妥当性があるかの評価を行なった。
肌老化の個人差が大きいと想定される40代(14名)の中で、生物学的年齢が相対的に高い人25%と低い人25%を選抜し、肌老化と密接に関連する肌計測値の違いを検証。
その結果、生物学的年齢が相対的に高い人(4名)は、目尻の肌の表面が粗く(しわが多く、深い)、目もとの肌の弾力性が低く、口もとの肌の糖化が進んでいることが確認できた。

これにより、生物学的年齢が相対的に高い人は、肌が老化している傾向にあることが示され、今回作成した皮脂RNAに基づく生物学的年齢が、肌の老化指標として妥当であると考えられる。

さらに、この生物学的年齢が、暦年齢と比較して、どの程度肌の老化状態を反映しているかを検証するため、同じ年代における肌老化に関連する肌計測値と、生物学的年齢、暦年齢との相関分析を実施した。その結果、40代において、暦年齢は肌計測値と有意な相関関係が認められなかった一方で、生物学的年齢は肌計測値と有意に相関することが明らかになった。
これにより、今回、機械学習を用いて皮脂RNAから算出された生物学的年齢が、肌の老化程度をより強く反映している可能性が示された。

生物学的年齢は肌計測値と有意に相関することを示したグラフ

生物学的年齢は肌計測値と有意に相関することを示したグラフ


まとめ
ヒトの肌状態は加齢のみならず、紫外線や食事などといった一人ひとりの環境の違いに大きく影響を受けることが知られている。
今回、皮脂RNAから、肌の老化程度を反映する生物学的年齢情報を取得できる可能性が示された。暦年齢は不可逆ですが、生物学的年齢は環境因子を見直すことでよい状態に変化させることが出来る可能性がある。
今後は、さらに皮脂RNAのデータを蓄積することで、生物学的年齢の推定精度を向上させ、個々人の老化の進行程度の理解とそれに合わせた体や肌へのアプローチに向けた応用を目指す。

(情報/プレスリリース)

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タグ: スキンケア, 皮脂RNA, 花王生物科学研究所

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