資生堂プロフェッショナルが新知見3件を発表
Posted on | 1月 16, 2021 | No Comments
資生堂プロフェッショナルは、ヘアカラーなどに関する新たな知見を3件発見し、2021年1月15日発表した。
①特定のアスコルビン酸誘導体とカチオン界面活性剤の組み合わせがヘアカラーに対して優れた褪色抑制効果を有すること
② 炭素原子数8~16の揮発性炭化水素をヘアカラー剤に配合することで効率よく髪色を脱色する効果があること
③シクロアルカン構造中に複数の水酸基を持つ構造体である『シクリトール』に、アルカリ処理時の毛髪の構造変化を効果的に抑制する機能があること
同社は、新知見を今後開発する製品に活用していくとしている。
知見の概要
① ヘアカラーの褪色を抑制する成分について様々な検討を行った結果、特定のアスコルビン酸誘導体とカチオン界面活性剤を組み合わせて配合したヘアカラー剤は、未配合のものと比べてヘアカラー後のシャンプーによる褪色を抑制することを確認した。→色持ちのいいヘアカラー剤を開発
②へアカラーは、毛髪を脱色すると同時に染色するもので、この脱色の反応はヘアカラー剤中のアルカリ剤と酸化剤によって発生する活性酸素が、毛髪中のメラニン色素を分解することで起きる。
今回の研究の結果、特定の揮発性炭化水素を配合したヘアカラー剤は、未配合時に比べて毛髪内部のメラニン色素をより分解・消失させていることを確認した。
また、毛束の実験でも未配合のものに比べ、髪の明度が上がることが明らかになった。 本現象はこれら揮発性炭化水素が、脱色に寄与するアルカリ剤と酸化剤を効率よく毛髪内部に浸透させたことによるものと推察されるが、この反応機構の詳細は、今後の研究で明らかにしていく。
これによりアルカリ剤の増量などで毛髪を過度にダメージさせることなく、効率的に髪の明度を上げることが可能になった。→ヘアカラー剤やブリーチ剤に活用
③ヘアカラーやパーマなどアルカリ条件下に置かれることにより、毛髪タンパク質はタンパク質変性と呼ばれる構造変化を起こします。一度、構造変化した毛髪タンパク質は再び元の構造に戻ることはなく、毛髪強度の低下や手触りの悪化を生じ、それはダメージとして実感されます。
そこで、アルカリ条件下での毛髪の構造変化を抑制する方法を検討したところ、シクリトールにその機能があることを見いだした。
シクリトール配合のアルカリ剤で処理した毛髪は、シクリトール未配合時と比べて毛髪内部の微細構造の変化量が少ないことを確認した。併せて、シクリトールには毛髪の強度低下を抑制する効果も認められ、手触りの悪化も軽減されることが分かった。
また、ダメージが軽減される一方で、ヘアカラーの染色性の悪化を伴うことが懸念されるが、シクリトールによる染色性への影響はないことも確認。本知見によって、既にダメージした毛髪を補修する従来の方法だけではなく、ダメージの原因となる毛髪内部の構造変化そのものを抑えることで、毛髪強度の低下を抑えることができる。この技術によりダメージが少ないヘアカラーやパーマ処理が可能となった。→まずヘアカラー剤へ採用し、その後は様々な美容・理容サロン用ヘア製品へ活用の幅を広げていく。
(情報/プレスリリース)
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