生活衛生課関係予算 23年度に注目<コラム>
Posted on | 2月 12, 2010 | No Comments
理容美容業などを所管する厚生労働省健康局生活衛生課の平成22年度予算が決まった。総額21億65百万円、ざっと22億円だ。
民主党政権にかわって、予算の動向が注視されたが、22年度は現状維持といったところだった。実際のところは民主党政権が仕分けする時間的な余裕がなかったのだろう。
この22億円、理容美容、クリーニング、飲食、旅館、遊興など生活衛生の16業種すべてを対象にした予算額である。
ちなみに理容組合の連合会である全国理容連合会の22年度予算は、7会計合わせると20億47百万円に達する。理容業1業種で政府の予算に匹敵する。政府の22億円は、16業種を対象にした予算にしては少ない気もする。
しかし問題は金額の多寡よりもその使われ方である。
生活衛生営業指導センター事業に9億円がつぎ込まれている。全国と地方を合わせての金額だが、この生活衛生営業指導センター、生活衛生関係公務員の天下り機関になっている。生活衛生営業を支援する名目で作られてはいるが、その実態は昨年、生活衛生課が開いた「今後の生活衛生関係営業の振興に関する検討会」で、事業比率を非開示にするなど、予算の大半は人件費などに当てられているものと推測される。
公務員の受け入れ機関と指摘されても仕方がない。
この検討会では、業者側委員から、天下った役人が期待される仕事をしない実態が報告されるなど、何かと問題が多い組織であることが指摘された。また、経営相談員についても、天下った役人がするのではなく、同業者に相談にあたらせるなど、利用しにくい仕組みになっている。
消費者に安心と安全を保証するというSマークにしても、PR不足から国民には期待通りには認知されていない。このSマーク、国の予算ですべてやってくれればいいのだが、協力する業者から登録料とか更新料を徴収するのだから、業者もたまらない。国の農業に対する扱いとはだいぶ違うようだ。
予算の話に戻ろう。12億が日本政策金融公庫に生活衛生資金補給金として計上されている。日本政策金融公庫は、旧・環境衛生金融公庫を引き継いだ金融機関だ。環境衛生金融公庫といえばやはり生活衛生関係の公務員の天下り用の金融機関で、日本政策金融公庫に統合されても天下りの実態は変わっていない。
予算計上の名目は「日本政策金融公庫の生活衛生資金貸付業務に係わる補給金」となっている。
生活衛生関係の政府予算の多くは、お役人様のために使われているようなものである。
確かに、組合への助成金なども僅かに計上されているが、金額は極めて少ない。
組合への助成金額をもっと増やせばいいのかというと、そう簡単ではない。助成金を増やすと、おまけ(天下りの役人)がついてくると困るから、とは某連合会の職員の弁。
困ったお役人様の多い日本国の縮図を見るような厚生労働省生活衛生関係の平成22年度予算でした。
というわけで、平成23年度予算に注目したい。
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