理美容市場動向 2012年 予想
Posted on | 2月 17, 2012 | 1 Comment
理美容業界の市場規模については、よく聞かれる質問の一つである。しかし、情けないことに自信を持っての確たる回答ができない。おおよその話はできるのだが、あくまでもアバウトなのである。
だいいち理美容の店舗数すら正確なデータがない。厚生労働省の発表する店舗数と総務省が発表する数字は違う。それも微妙に違うのならいいが、そうではない。厚生労働省の数字では美容所は22万軒だが、総務省は18万軒と2割以上も違っては、どちらの数字を採用するかによって、まったく違った市場規模になってしまう。
よくいわれるのは、理美容業界の店舗数は35万軒(美容所22万軒、理容所13万軒)で、市場規模は2.3兆円という数字である。1軒当たりの年間売上高は657万円になる。
これがマックスの理美容業界の市場規模で、対外的にはこの数字がよく使われる。外部からの投資を呼び込むにはできるだけ大きな市場規模であったほうが有利だからだろう。
ちなみに美容市場は1.6兆円で、理容市場は0.7兆円とされている。美容店の売上高は727万円、理容店は538万円と差がある。
しかし、店舗数を総務省の数字、30万軒(美容所18万軒、理容所12万軒)に置き換えると、1兆9710億円と2兆円を割り込んでしまう。
厚生労働省と総務省のデータの違いは、厚生労働省は開業・廃業の届出数を元に集計しているのに対し、総務省は別の集計方法を採用しているからだ。一例が理美容の仕事をしながら他業も兼業している事業者については、理美容事業者として集計されないことがあり、結果として少なめにカウントされる。一方、厚生労働省の場合は開業届は確実に保健所に提出されるが、廃業は届出をしないケースもあり、多めになってしまう。これらの差が積もって大きな誤差になっている。
この2つのデータ以外にも経済産業省のデータ(経済センサス)があり、公的機関の経済調査ではこのデータを使うことが多いが、こちらはデパートなど大型商業施設はデパートとして集計され、その中に入っている事業者はカウントされない。当然、理容美容の数値は小さくなる。このデータでは美容所は17万6千軒、理容所は11万2千軒(平成21年度)になる。
年間の売上高についても、調査また調査年によってかなりなばらつきがある。一例が全理連が行っている統計調査(調査対象5000事業所)では理容店の年間の営業収入が平成19年707万円、20年577万円、21年620万円と大きく変動している。美容店では、数千規模の調査がないので、あくまでも推定値になってしまう。しかも美容店は、理容店以上に個店による売上高の差が大きい。
正確な理美容市場は結局は分からないのだが、本メディアでは対外的には2.3兆円とマックスの数値を、そして内部的(より実態に近い)には、2.1兆円を採用している。
理容美容の内訳は、理容7000億円、美容1兆4000億円。現状では理容は美容の半分の市場規模とみる。
以上の市場規模の上に立って、理美容業界のマーケット動向を分析、予想すると、、。
・全体では平成23年は前年比マイナス2%台ほど市場規模が縮小した
・平成24年は前年比マイナス1%台程度,市場規模が縮小する
と分析、予想する。
理由は本メディアが毎月紹介している理美容関係の消費者物価指数、家計調査などの動向から、理美容の各料金がデフレ下にあり、しかも消費者の利用回数は減少傾向にあるからだ。24年は前年よりは改善するものと予想されるが、他の物価に比べ回復が遅れると判断している。
また、理容・美容別では
・理容の市場規模は縮小トレンドにあり、今後その速度は早まる
(理容市場は、経営者の高齢化による廃業が進み、さらに客離れ、客単価の低下、来店頻度の長期化などから、急速にその規模が縮小する)
・美容市場は、新規開業・廃業が多く活性しているが、全体としては客単価の低下の影響が大きい。それを埋めるのが男性客である
(美容市場は、企業化された大規模、中規模経営のサロン同士の競争が激化するが、仕入や教育面などでスケールメリットを生かした経営を展開できる法人サロンは伸長の可能性が大きい)
(個人経営の美容店は、さらに厳しい経営になる)
と予想している。
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Comments
One Response to “理美容市場動向 2012年 予想”
7月 28th, 2013 @ 7:13 AM
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