割高な理美容業の労災保険料率
Posted on | 4月 7, 2019 | No Comments
厚生労働省労働基準局労災管理課は2019年4月5日、「労災保険の業種区分に係る検討会」報告書を発表した。「その他の各種事業」に分類され、保険料率が3.0になっている理美容業は、今回の検討会でも見直し対象業種から外れた。
3年に一度ほど改訂作業が行なわれており、過去に「その他の各種事業」から「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「金融業、保険業又は不動産業」などが分離され、保険料率2.5に低減されている。
労災保険制度の適用事業場数は279万事業場、適用労働者数は5,748万人(平成28年度末)あり、労災保険率は、適用事業場を54種類に区分した業種(事業の種類)ごとに、それぞれ事故率などに応じて、負担率の平等性を考慮して設定されている。
理美容業はじめ美容系職種の場合、屋内作業であるため、通勤途上での事故、あるいは作業特性から腰痛、胃腸病など労働災害事故は限られている。料率の3.0は低い部類だが、これでも事故発生率から高負担と認識する経営者は少なくない。
現行料率になった平成30年改訂で、平均労災保険率は1,000分の4.7から1,000分の4.5に引き下げられるなど低減される傾向にあることから、事故の少ない理美容業はじめ美容系職種も引き下げの対象業種になるものと期待していただけに残念な報告書といえる。
なお、「労災保険の業種区分に係る検討会」報告書によると、平成26年から28年までの3年間の理美容業と浴場業の労災受給者数は1600人だった。
また、「94その他の各種事業」の各細目の災害発生頻度及び重篤度(平成26-28年度)のグラフでも、今回見直しの対象となった介護事業者、幼稚園、医療事業者、認定こども園などの職種に比べ災害発生頻度は少ない。(下の図参照)
【参考資料】(「労災保険の業種区分に係る検討会」報告書より)
「94その他の各種事業」の細目別適用状況(平成26-28年度)
理容、美容又は浴場の事業(職種番号:9421)
①適用事業場数・構成比/5万5603・2.0%
②適用労働者数・構成比/29万5821・0.5%
③新規受給者数(業災)/1600
④新規年金受給者数(業災)/3
災害発生頻度(③÷②)/0.54%
災害重篤度(④÷③)/0.17%
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