ＱＢハウスの衝撃

Posted on | 4月 2, 2019 | No Comments

平成の時代、理美容サロン業界の画期的なできごとの一つとして、ＱＢハウスの登場をあげることができます。カットに特化した新業態店のＱＢハウスは、理美容サロン業界に一大変革をもたらしました。

ＱＢハウスが誕生したのは平成7年（1995）。翌年、神田に1号店を出店、以来急成長を遂げ、平成30年（2018）には東証一部上場を果たしています。上場時で、国内に542店舗、海外117店舗を展開するまでに成長しています。

ＱＢハウスの登場以前にも、低料金を売り物にした、いわゆる安売りバーバーはありました。1時間かかる総合調髪を半分の30分ほどでこなし､料金も半分、というもので「安かろう悪かろう」の内容で、多くの利用者の支持を得るには至らず、業界に深刻な影響を与えることはありませんでした。

しかし「10分・1000円・カットのみ」のＱＢハウスは違いました。経産省の外郭団体が行う顧客満足度調査で常に上位にランクインしているのをみても、多くの利用者から支持されているのがわります。その背景には1000円という安さもあるのでしょうが、短時間で済む、通りかかったときに空いていればすぐにできる、などといった利便性も評価されています。

肝心のカット技術についても、ＱＢハウスをこっそり偵察した理容師さんいわく、「無駄な工程がなく合理的」とのことでした。
ＱＢハウスの成功をみて同様の店を展開する会社が増えています。また、カットとヘアカラーに特化した女性向けの業態店も近年成長著しいものがあります。

これらの業態店が急成長した背景には平成という時代が､経済的に停滞した時代だったこともありますが、前述の通り顧客満足度は高く、消費者にすっかり受け入れられ定着した業態になっています。一般的な営業をしている街の理美容店にとっては脅威的な存在である一方、消費者にとっては選択肢が広がり歓迎されています。

政府の統計をみても、利用者の理容店への利用回数は平成の中ごろから増加傾向に転じています。しかし、支払金額はほぼ横バイで、料金の安価な業態店に流れているのがうかがえます。それだけ従来通りの営業をしている一般の理美容店にとって厳しい経営状況になっているのがわかります。

次の令和の時代も、業態店と併存を余儀なくされる一般の理美容店です。すでに生き残りをかけた競争は始まっていますが､次の時代は消費者から選ばれる店、利用者から支持される理美容師でなければやっていけないでしょう。
すでに飽和状態を迎えている理美容サロン業界、業態店と個人経営の一般店との競争、業態店は業態店同士の競争、一般店は近隣店との競争に勝ち抜く技術力、経営が求められるのが次の令和の時代です。

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